2022/9/21
「ひつじからの恵み」毛刈りした羊毛が、ふわふわのウールや毛糸へ
ルスツファームひつじ牧場では、約650頭のひつじを飼育しています。これまで食肉をメインにしておりましたが、2020年より観光牧場を目指しひつじひろばをオープン、2021年からは羊毛の販売もスタートさせました。今回は「羊毛」についてご紹介します。
桜の開花とともに、年に1度の衣替え
ひつじの毛刈りは毎年5月、桜前線とともに年に1度、毛刈り職人により毛刈りを行います。毛刈り職人3名+飼育スタッフ2名で3日間、約400頭を丸刈りに。見ているとフリースを脱がすようにバリカンを動かし、さっぽりスマートになる姿に爽快感がありますが、実際チャレンジしてみると、羊を倒すだけで汗だくに。そしてバリカンも非常に重たい!おまけに振動で握力が持って行かれる!嫌がるひつじを押さえながら、重くて振動のあるバリカンを使いこなさないといけないかなりの重労働です。
広げると1枚物に
毛刈りにも手順があり、1頭刈り終わると全てが繋がって1枚物に、これを「フリース」と言います。その大きさ2m近くあり、まるでカーペットのようです。
ウールの七不思議
羊毛は素晴らしい天然素材です。撥水するのに吸水もする。良く染まるのに色落ちしない。汚れにくい。水を吸うのに保湿性に優れている。燃えるのに難燃性がある。紡ぎやすいのにフェルト性がある。形状記憶性があるのに弾力性がある。相反する性質も持ち「ウール七不思議」とも言われています。
羊毛の使い道
毛刈りで出た羊毛ですが、このままでは使えません。羊毛を洗ったり、繊維を整えるなどの工程を経てから、糸に紡いだりフェルトにします。1957年には国内に約94万頭いた羊ですが、2017年時点でたったの約1万8,000頭。飼育数が減ったきっかけとしては昭和30年代に羊肉・羊毛の輸入が自由化されたことにあるそうです。そして1998年以降、日本から羊毛洗いの専門工場はなくなりました。
ジャパンウールプロジェクト協議会による羊毛買取に参画
400頭もの羊毛のゴミ取り・洗毛などの作業は飼育スタッフだけでは不可能なため、これまで廃棄していました。しかしジャパンウールプロジェクト協議会による羊毛買取のおかげで、廃棄していた羊毛を使っていただける機会ができました。ルスツファームからは150㎏を納品しました。ここで羊毛の格付けをされ、買取価格が決定します。
愛知県の一宮にある国島株式会社様に、今年は全国から26牧場・5.7tの羊毛が集まったそうです。ジャパンウールプロジェクト協議会で羊毛を洗っていただいているのは、染色工場とのことで、本来は染色する釜を使って、羊毛を洗ってもらっています。泥と夾雑物 (藁やゴミなど) を落とすために、何度も何度も毛をほぐしては、釜に入れて洗う。という工程を繰り返しておられます。
羊毛を利用するために、羊毛を洗い、カード (専用ブラシで羊毛をほぐし柔らかくする行程) をし、紡績して糸にしていく・・・。とても手間のかかる作業ばかりで正直、輸入品の毛糸の方が安価で手に入れることが可能です。しかし熱意ある方々のおかげで、廃棄されてしまっていた羊毛を生まれ変わらせていただいています。
自社でも羊毛販売をスタート
せっかくのお宝なので、自社でも羊毛の販売を開始しました。洗毛前の1年間の汚れが付いた羊毛で本当に商品になるか不安でしたが、これが予想を上回るご注文にスタッフもビックリ。1頭まるまるお届けのため、羊臭を感じながらご自身で洗いから出来るので、作品にも更に愛着が湧いてくるようです。こだわりのある方々から嬉しいコメントをいただけ、嬉しい限りです。またジャパンウールプロジェクト協議会とは別に、ルスツウールとして製品化し、毛糸としても販売しています。
オリジナル商品もラインナップ
札幌で活動する羊毛作家が集まるきりぎりすの会にお願いし、ルスツファームの羊毛を使った商品も取り揃えています。ウェスティンルスツリゾートホテル内「ウィンターテール」では実際の商品をお手に取ってご覧いただけますので、お気軽にお立ち寄りください。
ルスツリゾートオンラインショップでも購入可能
またルスツリゾートまではなかなか行けない。という方には、ネットショップ「Hokkaido Rusutsu Marche」でも一部商品をご購入いただけます。羊毛を使った商品から、ルスツファームで栽培したアロニアのシロップなどを販売しています。ルスツの大自然に暮らすひつじたちを思い浮かべていただけると嬉しいです。
ひつじひろばで会いましょう
10/2(日) までは、ホテルのすぐそばにひつじひろばで羊たちがのんびりと暮らしています。週末にはこひつじのふれあいやシープドッグショーなどのイベントも開催中です。お散歩がてら会いに来てくださいね。