2013/6/23

[6回] 輝いているあの人の秘密は? - アンチエイジングなライフスタイル -


皆さんは食事をちゃんと摂っていますか?ダイエットのために食事を抜いたり、忙しさのあまりファーストフードや菓子類ですませたり、夜遅く寝る前に食べたりしていませんか?そんな毎日の日課の食事ですが、アンチエイジングや健康的なダイエットのためには、はたして1日何回がいいのでしょう。 食事は毎日3回摂るべきとする意見が多い一方で、昔のように朝・晩の2回でよしとする意見があります。さらに最近、1日1回 (夕食のみ)の食事が望ましいとする考え方が世間を賑わしています。 そこで、本稿では極端な考え方とも言える1日1回の利点と問題点を整理しながら、アンチエイジングや健康的なダイエットのために、より望ましい食事回数を考えてみたいと思います。

1日1回の利点

1. 空腹の時間が長くなるため、食事直前の成長ホルモン分泌が多くなる。成長ホルモンは「若さのホルモン」と言われ、アンチエイジングや体脂肪の分解などの働きがある。
2. 1日の摂取カロリー総量は少なくなる (カロリー制限になる)ためダイエット効果がある。また、カロリーの制限は寿命を延長するという意見がある。
3. カロリー総量の低下により長寿遺伝子のSirT (サーチュイン)が活性化するという意見がある。

1日1回の問題点

1. 空腹を我慢するのがつらく導入しづらい (精神的な負担が大きい)。
2. 長続きできず断念しかねない (生涯の食習慣としては定着しづらい)。
3. 食事の楽しみが1日1回になる。
4. 菓子類などの間食や飲料が増える可能性がある。
5. 各種栄養素の必要量を摂取できない可能性が高くなるため、毎回栄養成分を十分に考慮した内容にする必要がある。手を抜けない。
6. 1回分の量が多くなりがちになるため消化管への負担が大きくなる。
7. 低血糖気味の時間帯が長くなるため、イライラや気力が低下しやすくなる。
8. エネルギー不足のため運動らしい運動ができにくくなる。そのため筋肉量が減り体脂肪が増えるおそれがある。
9. 食後に急速に高血糖を来たしやすくなるため、活性酸素による「酸化 : さびつき」とともに老化や病気の大きな原因である「糖化;余分な糖分によるこげつき」がより強く起こることになる (これは大問題!)。※食事の回数が少ないほど食後の血糖値が急速により高くなることが実験的に証明されている。
10. カロリー制限の食事を続けていると、身体が「脂肪溜め込みモード」になるため太りやすくなる。食事回数を元に戻したときのリバウンドが大きい。
11. 食後に内服するのが望ましい薬剤やサプリメント (とくに脂溶性のもの)が1日1回に限定されがちになる。
12. 朝食を抜く場合、朝食による末梢体内時計のリセットができなくなる (体内時計は25時間周期であり、中枢は朝日、末梢時計は朝食でリセットされる)。

「利点」は本当に利点?

利点1の成長ホルモンは、日中は食事や運動などに伴い脳下垂体から分泌されますが、1日のうち大半が夜間睡眠中に分泌されますので、夜更かしせずに睡眠を摂れば食事に伴う分泌の違いは大差がないと思われます。

利点2については、「カロリー制限しても、アカゲザル (ヒトと同じ霊長類) の寿命は延長しなかった」(2012年8月、米国立加齢研究所がNatureに発表) とのことから、ヒトでの寿命延長効果はカロリー過多の人を除き期待できないかも知れません。しかし、健康に対して様々な好影響をもたらすことは確かなようですので、ほどほどであれば良いでしょう。

利点3については、「サーチュインは長寿遺伝子ではなく、寿命延長作用はない」(2011年9月、ロンドン大学がNatureに発表) という研究報告があります。動物では長寿遺伝子として確認されていますが、ヒトでは現時点では未確認です。また、カロリー制限によりサーチュインが活性化するという点についても確定的ではなく、疑問とする意見もあるのが現状です。

どんなことでも、極端な方法にはメリットを上回るデメリット・リスクが隠れている可能性があります。ビジネスの世界においては「リスクの分散」が大切であるように、健康においてもメリットを求めるより、まずリスクの回避が先なのではないでしょうか。