2013/7/23
[7回] 現代は光公害の時代に突入した!?
「ブルーライトヨコハマ♪」・・・高度成長で世の中が活気に満ちていた1968年のクリスマスの日にリリースされたミリオンセラー曲。女優としても活躍されているいしだあゆみさんが大きなキラキラした目で歌ってらっしゃいました。2008年12月から京急線横浜駅の電車接近メロディーとして使われるなど、40年以上経った今も人々に愛され続けている素敵な曲です。そのキーワードである「ブルーライト」が、当時は思いもしなかった「健康への悪影響」で近年再び関心が寄せられています。横浜の夜の青色の灯りは、当時も今も恋する二人のシチュエーションとしては良くても、網膜やアンチエイジングにとって大切なサーカディアンリズム (概日リズム) などへの様々な悪影響が危惧されるということです。近年ブルーライトを多く含むLED (Light Emitting Diode : 発光ダイオード) が急速に普及してきているため、その対策を個人はもとより、社会問題として考えるべき時代に入ったと言えるでしょう。
ブルーライトとは?
そもそもブルーライトとはどのような光なのでしょうか。光は波長により分類され、私たちが見ることのできる可視光線 (およそ400 ~ 800 nm) より短いのが紫外線、長いのが赤外線と言われるものです。ブルーライトは紫外線に近い波長380 ~ 495 nmの青色の光で、散乱しやすく高エネルギーであることが特徴です。散乱しやすい光であるということは、像がぼやけやすいため目の調節に負担がかかり、眼精疲労をきたしやすくなります。
また、高エネルギーのため網膜への悪影響がより強くなります。サーカディアンリズムの乱れをきたすことも大きな問題です。朝日の青色の光で目覚め、夕方のオレンジ色の光で活動モードから休息モードになり、暗闇の訪れにより眠りにつくというのが私たち本来の生体リズムです。
睡眠への影響
しかし、1日中光が溢れる現代の社会環境や、パソコン、スマートフォン、液晶TVといったLEDが日常生活の中で多く使われている状況は、このリズムを狂わせてしまうことになります。就寝の直前まで、あるいはベッドに入った後もブルーライトを目に受けていると、睡眠に少なからず影響が出てしまいます。
寝付けなかったり、眠りが浅いと、身体や脳の休息、記憶の定着、明日へのエネルギーの蓄積といった睡眠の働きが十分に果たせなくなってしまいます。また、1日分泌量の大半が夜間睡眠中に集中している「成長ホルモン」の分泌が抑えられてしまうことになります。成長ホルモンは「若さのモルモン」ですので、ブルーライトはアンチエイジングのためにも無視できない問題なのです。
ブルーライトとの付き合い方
そうは言っても、LED はわが国の研究者が開発した歴史に残る世界的な科学業績であり、日本人として誇らしいものです。LEDは白熱灯や蛍光灯に比べると明るく、消費電力も少なく、寿命も長く、しかも水銀汚染の心配がない環境に優しいものであるため、自身のライフスタイルに合わせて上手にお付き合いしていく、ということになるでしょう。
2012年5月、米国医師会は「現代は光公害の時代に突入した」との声明を出し、重要な健康問題として注意喚起しています。現代に生きる私たちは、「光」も公害になるということをブルーライト問題を通して認識し、光の使い方を考え、ブルーライトカット効果のあるフィルムや眼鏡などで対策を講じる必要があるでしょう。