2013/8/23

[8回] あなたの病気や体調不調の背後に潜む「遅延型 (潜在性) フードアレルギー」


数ある「欲」のなかでも、食欲は生きるために欠かすことのできないものであるばかりでなく、食事を通して私たちの生活に喜びと彩を与えてくれるものです。人生にはさまざまな選択肢があるように、日々の食事もまた選択に満ち溢れています。遺伝子組み換えや添加物などの食材・食品の安全性に関する問題はよく取り上げられますが、そうした問題とは別に私たち食べる側のアレルギーについても見過ごすことはできません。

食物アレルギーというと、食べてから15 ~ 20分以内に現れる腹痛や、下痢、発疹、かゆみ、口のしびれ感などを思い浮かべますが、それは食物アレルギーのうち、すぐに現れるタイプの「即時型」と言われるものです。このタイプのアレルギーは因果関係がわかりやすいため対処しやすいのですが、短くても2時間以上 (多くは数時間後。ときには数日から1週間以上) 経ってからみられる「遅延型 (潜在性)」のアレルギーは時間が経ちすぎていることや、即時型とは違うさまざまな体調不良の形 で出てくるため原因を食物に求めることができない場合がほとんどなのです。

こんな症状も引き起こす!?

疲れがとれない、イライラする、集中できないといったメンタル面の不調、むくみ、冷え、肩こり、関節痛、筋肉痛、頭痛、しびれ、めまい、肌あれ、にきび、便秘、発汗低下、さらには、自閉症、多動性障害、アトピー性皮膚炎、過敏性腸症候群や風邪をひきやすい、眠れない、体重が増えやすい、なかなか妊娠しないということまでもが遅延型フードアレルギーによる可能性があるのです。みなさんも当てはまるものがいくつかあるのではないでしょうか。

検査をしても異常がみつからず、自律神経失調症、更年期障害、あるいはストレスのためとして片づけられていることが少なくありません。残念ながら、わが国ではこのような遅延型フードアレルギー検査の実施体制が整っていないため、ほとんどが保険外対応で海外の検査機関に血液を送って調べているのが実情です。好きで毎日のように食べるものにアレルギーが多いということもあるため、わが国においても保険を使ってどこの医療機関でも受けられる医療体制の整備が望まれます。また、近年さまざまな形で取り組まれてきている子供たちの「食育」にとっても重要視すべき問題なのではないでしょうか。

遅延型アレルギーのアレルゲンとして上位にくる食品


保険外医療 (自由診療) を行っている全国の一部の医療機関が窓口となって調べることができます。卵、乳製品、パン酵母、バニラビーンズ、そば、小麦、牡蠣などに遅延型のアレルギーが多く見受けられます。即時型アレルギーを伴わない場合も少なくないため、原因のはっきりしない体調不良のある方は、ぜひ調べてみたいものです。

アレルギーの対処方法

アレルギーの程度によって対処方法が変わります。軽い場合は毎日食べることはせず、食べ過ぎに注意することなどで症状を軽減することが可能です。中程度以上のアレルギーの場合は、次に示すような方法で対処いたします。

[中程度]
・週に1 ~ 2回少量。できればなるべく食べない。

[高度]
・可能な限り、どんな形でも食べない。
・もし食べてしまったら、その後の3日間は極力避ける (4-day rotation plan)。
・不適切な食生活、ストレス、喫煙、お酒の飲み過ぎに注意する。
・腸のコンデションをよくする(便秘はご法度) 。
・十分な水分や食物繊維、乳酸菌食品、発酵食品、オリゴ糖 (大豆やバナナなどに多い) など。
・熱を加える (生に比べアレルギー反応が起こりづらい)。

アレルギーはこのような方法により、数か月以内に軽減~解消します。高度の場合は半年を目途に実施し、再度のアレルギー検査によりその効果をみて中程度の対処法に慎重に移行することになります。