2016/2/2

[20回] 健康寿命の延ばし方


長生きはしたいけど寝たきりになって人様に迷惑はかけたくない、というのが多くの人の気持ちなのではないでしょうか。女性76歳、男性71歳。これは寝たきり、あるいはそれに近い状態にならずに過ごせる期間である「健康寿命」と言われる年齢です。しかし、平均寿命は女性87歳、男性80歳ですので、10歳前後も短いことになります。つまり、男女ともおよそ10年もの間、周りの人のお世話になりながら過ごすことになるのです。

家庭的にも社会的にも大きな負担になっているこのような状況を生み出しているのは、平均寿命に達する何年も前に介護が必要な病気になってしまうことが主な原因ですので、早いうちから病気の発症や進展の予防に取り組むことが肝要です。

何が健康寿命に影響を与える?

食生活の適正化と運動習慣が何よりも大切であることは言うまでもありませんが、このようなライフスタイルに関わることだけではなく、様々な要因が密接に関与していることがこれまでの研究で解ってきました。乗り物の運転手やマスコミ関係者、プロスポーツ選手の寿命は短く、僧侶や芸術家、文化人、知的職業の人は長寿であるとの調査研究のほか、標高が高い自治体に住んでいる人や夜間のトイレ回数が少ない高齢者は長生きとか、長寿者の血液型を調べたところB型が多かったといったことなど、ユニークな研究も報告されています。

健康寿命チェック

次に示す「健康寿命チェック」であなたの現状をチェックしてみてください。どうしようもないこともありますが、できることから改善に努めてみてはいかがでしょうか。


※ 健康寿命とは、寝たきりやそれに近い状態にならずに過ごせる期間
※ 日本人の健康寿命 (男性71歳、女性76歳) に各項目と食事、運動の点数を合計した数字があなたの健康寿命です。

[例]
あなたが女性で、各項目の合計点数が +5点、食生活自己評価点が -2点、運動自己評価点が -1点の場合あなたの健康寿命=女性の健康寿命の76+5-2-1=78歳

[解説]
・収入 : 収入が高いほど要介護率は低く長命だが、逆に高すぎると健康度は悪くなる。
・学歴 : 日本、米国、ノルウェーなどで行われた調査で、低学歴に比べ高学歴の人は死亡率が低いとの結果が出ている。高学歴の人ほど健康意識が高く、学ぶ機会が多いことに加え、喫煙率も低くなることなどによる。
・仕事 / 役割 : 仕事や役割を持つということは、社会との繋がりの中で何かしらの責任を負うと同時に物的・精神的な報酬や経験を得ることになる。そうしたことが心身活動能の維持・強化を促す。
・婚姻 : 既婚者は独身者に比べ癌の早期発見率が高いことから死亡率がおよそ20%も低い (米国ハーバード大学の研究)。また、離婚した場合、男性は未婚者よりも短命になるが女性は変わらない (つまり、女性は夫がいなくても大丈夫?)。
・睡眠 : 長寿者の睡眠時間は平均7時間前後。
・性格 : 慶応大学の長寿者研究では、男性はマイペース、女性では姉御肌の人が多かった。また、血液型ではB型が多かった。
・幸福感 : 「Happy people live longer : 幸せな人は長生き」というタイトルの著名な学術論文がある。