2016/9/2

[23回] あなたは右?左?


アスリートが夢見る最高の舞台―「オリンピック」。目指すは表彰台の真ん中。 そこに誇らしげに立つ金メダリストは銀と銅のメダリストを左右に従えますが、皆さんは左右のどちらが銀か銅かわかりますか?答えは、金メダリストからみて右が銀、左が銅です。つまり、左よりも右のほうが格上ということになります。国際政治の世界でも儀礼的な見地から同様の位置取りになっています。2国の政治家が同じ壇上に立つ場合、敬意を表して招待した側の右手 (向かって左) が相手国になります。

また、大切な取引先とテーブルを挟んで二人で対面応対するとき、相手から見て右側に上役が座るのがビジネス上のマナーとされています (ちなみに、三人の場合は真ん中が最上位の人) 。英語では「正しい」という単語は「右」を表すrightであることに象徴されるように、世界的にみると様々な場面で左よりも右を上位にみることが多いようです。

日常に現れる「右と左」

一方、わが国の伝統は逆です。古事記に、「伊邪那美命 (いざなみのみこと) の左目から天照大神 (あまてらすおおみかみ) が、右目から月読命 (つきよみのみこと) が生まれた」と書かれていることや、朝廷の官位では右大臣よりも左大臣のほうが上、つまり、天皇の左側が右側よりも上位になっています。これについては、古来より天皇は南面して座し、そのとき、左手 (東の方角) が日いずる方角であるために位が上になったと考えられています。

お内裏様からみて格下のお雛様は右 (向かって左) の京雛も伝統的儀礼通りの位置関係にあります。しかしながら、この伝統は国際交流のご公務を考慮し昭和天皇からは西洋の規範に合わせるようになりました。関東雛と呼ばれる現代の一般的な雛段もお雛様は左 (向かって右) になっています。結婚式の雛段の新郎新婦もそうですね。こうした伝統的儀礼とは関係のないことにも左右の違いが多々みられます。エスカレーターは東京では右、大阪では左を空けることや、地下街はなぜかどこでも左側通行、乗り物や魚の絵はみんな左向きに描いてしまう等々。また、座右の銘、右腕、右翼、右に出る者はいない、左団扇、左党、左遷など、右や左の付く言葉を私たちは日常的によく使っていることがわかります。

そんな右と左ですが、古今東西を問わず肖像画の多くは視線は正面であっても顔 (と体) はやや右向きで描かれています。写真館で撮影した昔の顔写真をみると、ほとんどが右斜めを向いています。左向きよりも右向きということは、顔の右側よりも左側に視点を置くことになり、より良く描ける、撮れるということなのでしょう。このことは写真や美容の業界ではよく知られているのだそうです。

表情に出る左右差 - 右脳のはたらき

私たちの脳は左右一対で、役割分担がなされています。左脳は論理的な脳、右脳は感覚的な脳であり、脳りょうを介して両者はつながり協力し合っています。神経学的には左の脳神経は右半身を、右の脳神経は左半身を支配しており、顔についても左半分は右脳、右半分は左脳がコントロールしています。確かによく見ると左右の顔の表情は同じではないですね。皆さんはどちら側がお好きですか? 写真をとるときどちらを前にしますか?

左半分には右脳の感性や感情、右半分には左脳の知性や理性、つまり、左は本音 (素の自分) が、右は装い (外交の自分) が知らず知らず表現されているということになります。「顔に出る」という言葉がありますが、顔全体では読み取れなくても左半分の表情を注視することにより本音を垣間見ることができるかも知れませんね。

右脳の活性化がアンチエイジングな人生へのカギ

右脳はイメージの脳とも言われます。右脳のイメージの力は誰もが持っている計り知れない潜在的な能力を引き出すとともに、左脳にも大きな影響を及ぼします。それは結果的に脳全体の活性化につながっていくことになります。イメージトレーニングが重要視されるスポーツと同じように、芸術に触れるなどで右脳の感性を高めながら自分の人生をポジティブにイメージすることは、高いQOL (Quality of Life : 生活の質) を保ちながらアンチエイジングな人生を送る軌道を作ることにほかなりません。感性を伴って具体的にイメージすればするほど、いろいろな人と出会い、さまざまな局面に直面しながらその軌道がはっきりと見えてくることになります。
そうした人生の道を前を向いて力強く歩んでいくにつれ、左半分だけではなく顔全体の表情は輝き、ひいては、心もからだもまるごと素敵で魅力的な人になっていくことでしょう。

あなたは右脳型?

以前どこかの政治家が「2番じゃダメなんですか!」と言っていました。「3番」はどうなのでしょう?誰もが目指す金メダリストは最後まで負けませんが、銀も銅も負けたのはどっちも1回だけ。負けて貰う銀よりも、勝ってつかみ取る銅のほうが嬉しいかも?人生楽ありゃ苦もあるさ。涙の後には虹も出るーどこかで負けても最後にはメダルをつかみ取りたいものですね!

1. 芸術が好き
2. 暗記するのが苦手
3. 多少のミスは気にならない
4. 地図を読めない
5. 時間を守れない
6. 割り勘のとき計算が面倒
4つ以上なら右脳型 (米山公啓氏著書より引用・改変)